多くの日本人にはなじみが薄いけれど、実はとっても奥深くて面白い中央アジア。
そのなかでも、ビザなしで入国できる国がキルギス・ウズベキスタン・カザフスタンです(タジキスタンもビザなしで入国できますが、私がまだ行っていないので今回は取り上げません)。
この3つの国、それぞれ隣り合っていて「限りなく似ているのかなあ」と思っていたのですが、全然違います。
旅をしていて見えてきた、キルギス・ウズベキスタン・カザフスタンの違いや、旅行のしやすさについてお伝えします。
※2022年夏の情報です
2022夏・コロナ禍の入国と各国の実情について
2022年の7月~9月にかけ、キルギス・ウズベキスタン・カザフスタンを周遊して自分で見聞きした情報です。
キルギス・ウズベキスタン・カザフスタン、どの国も
- 日本人はビザ不要
- ワクチンの接種回数不問
- PCR検査の陰性証明不要
- 入国後の隔離や検査、待機なし
- ワクチンパスポートなし
で、2019年までの旅行と完全に同じように旅行でき、入国後はすぐに観光を開始できます。
どの国もマスクをしている人はごく少数(1%くらい?ごく稀にみかける程度)で、消毒もアクリル板もありません。2019年までと同じです。
飛行機も、日本から出発する便はマスクの着用をお願いされましたが、乗り継ぎで海外から出発する便については、マスクをしている人は1割以下です。もちろん、しなくて大丈夫です。
遺跡好きならウズベキスタン、山好きならカザフかキルギス、都市滞在ならカザフ
ウズベキスタンとカザフスタン、キルギスは近い距離にありながら、それぞれの国の「見どころ」が全然違います。
ウズベキスタン
サマルカンド、ブハラ、ヒヴァがウズベキスタンで訪れるべき三大都市。いずれも美しいモスクやイスラムの昔の街並みが残っていて、異国情緒たっぷり。
「美しく壮大な建築物を見たい」「アラビアンナイトみたいな世界を楽しみたい」という人は絶対はまります。
とにかく見どころが多いので、1週間じゃ全然足りません。
私は「1週間でささっと見て次の国に行こう」と思って入国したのに、気付いたら3週間いました。
特にサマルカンドはゆっくり滞在したい街です。
カザフスタン
カザフスタンは国土の面積が世界9位の広さという大きな国。
けれどそのほとんどは砂漠で、人口の大半が南東の旧首都アルマトイに集まっています。
アルマトイは四方を山に囲まれた街。町のどこにいても山がすぐ近く見え、町の人々は日常的に山に行ってハイキングやトレッキングを楽しむのだそう。
カザフスタンに向かう飛行機の中で出会ったカザフ人夫婦が、「アルマトイに滞在するならここに行け」というオススメをいろいろ教えてくれたのですが、レストラン以外はほとんど山でした!
気軽なハイキングを楽しみたい人におすすめです。
また、旧首都アルマトイはヨーロッパ風の美しい街並みが広がる都市。おしゃれなカフェやレストランがたくさんあり、ショッピングモールも各地にあります。レストランやカフェのレベルも高いです(お値段は日本とほとんどかわりません)。
キルギス
この3つの国の中で一番面積の小さな国ですが、山や湖が多く、トレッキング好きに人気が高いのがキルギスです。
目立った観光名所があるわけではないのですが、その分街並みも人々も素朴でホッとする居心地の良さがあります。
琵琶湖の何倍も大きいイシククル湖は、海のない国に住む人々にとって、サマーバケーションを楽しむためのビーチのような存在。
「日本人は多分、イシククル湖より山のてっぺんにある湖のソンクル湖のほうが好きだよ」とはキルギスの首都ビシュケクにあるさくらゲストハウスのオーナーの言葉。
山に行って乗馬を楽しみ、遊牧民の家ユルトに泊まるというツアーに参加できます。
ノマド・ワーケーション・リモートワークに向いているのはアルマトイ&ビシュケク
私は仕事をしながら旅をしているのですが、そこで重要になるのが「ネット回線の質」。
調べものだけならぶちぶち接続が切れてもイライラするだけで済みますが、オンラインミーティングに支障があるのはとても困ります!
そういう意味で、「問題なくZoomで会議ができた」のがビシュケクとアルマトイ。
どちらもネットの速度は速く、つながりも問題ありませんでした(ホテルのWi-Fiもスマホのモバイル回線も)。
スマホの回線はいいのだけれど、ホテルやゲストハウスのWi-Fiに問題アリなことが多かったのがウズベキスタン。
ウズベキスタンは「共用スペースならWi-Fiは問題ないけれど、ホテル部屋だとWi-Fiが弱い」ということが多く、「仕事がしにくい」と頻繁に感じました。
ネット環境の良さは、カザフスタンとキルギスに一票です。
また、カザフスタンのアルマトイにはおしゃれカフェが多く、カフェでは日本のようにたくさんの人がPC作業をしています。ウズベキスタンのタシケントにはそもそもPC作業ができそうなカフェが少なく、たまにあってもPCを広げている人は皆無。ビシュケクはもう少しカフェが多く、たまにPC作業をしている人をみかけます(作業ができるカフェも何軒かあるようです)
ノマドワーカーやワーケーションをしたい人には、アルマトイがダントツでおすすめ、次点がビシュケクです(店舗のWi-Fiも問題ありません)。
現地通貨の調達&支払いに難アリ、いろいろお金がかかるウズベキスタン
買い物や食事では支払いをクレジットカードで、という人も多いと思うのですが、ウズベキスタンでは多くの店舗がクレジットカード未導入またはウズベキスタンのクレジットカードしか使えません。
たまに日本のクレジットカードが使える店もありますが、カード利用手数料が支払金額に上乗せされます。
これはウズベキスタン国営鉄道やモスクの入場料でもカード利用手数料が上乗せされるので、ウズベキスタンでは「手数料は利用者が払うもの」という認識が一般的なようです(日本ではカード利用手数料は店舗が負担しています)。
また、現地通貨の調達にクレジットカードのキャッシング機能を使う人も多いと思うのですが、ウズベキスタンの銀行でキャッシングをすると、キャッシング手数料がかかります。
キルギス・カザフスタンではそんなことはなく、銀行でキャッシングをしても手数料は取られませんし、カードの利用手数料が上乗せされるということもありません。
ウズベキスタンは何をするにしてもお金がかかります。
また、ウズベキスタンのレストランでは食事をすると10%~20%のサービス料が加算されます。カザフスタン・キルギスのレストランでもサービス料を取られることはありますが、せいぜい10%です。
中央アジアの料理がおいしいのはウズベキスタン
ウズベキスタンはお金がかかりますが、中央アジアのオリジナルの料理が一番おいしいのはウズベキスタンだと言われます。
特にプロフ(中央アジアのチャーハン)は、ウズベキスタンが一番おいしいそう。
複数のカザフスタン人に「プロフはウズベキスタンがおいしい」と言われました。
そのほか、シャシリクやマントなど中央アジアの地元の料理はウズベキスタンがおいしいそうです。
カザフスタンはおしゃれなカフェが多く、コーヒーやケーキ、イタリアンがおいしい印象。また、寿司(カリフォルニアロール)やトンカツ的な揚げ物、焼き魚など、和食をメニューに揃えるレストランも多いです。
キルギスはラグマン(トマト味の焼うどんのような中央アジアのオリジナル料理)の本拠地。ラグマンならウズベキスタンよりキルギスです。
お土産を買うならウズベキスタン
お土産にぴったりなかわいいもの、きれいなもの、おしゃれにパッケージされたものはウズベキスタンに揃っています。
お茶もナッツもスパイスも、そのままお土産にしてあげられるようにかわいくパッケージされたものがバザールで買えます。
キルギスはかわいいものやお土産でひとにあげてもよさそうな気の利いたものはなさそうです(バザールでナッツをどばっと買ってジップロップで分けてあげる的なことが大丈夫な人ならOKですが、最初からこぎれいにパッケージングされたものはありません)。
アルマトイでも白い蜂蜜やナッツがあります。白いはちみつはおみやげに良さそうなかわいい小瓶入りをバザールやショッピングセンターでみかけました。ナッツは、ウズベキスタンのかわいい包装にはやっぱりかないません。
ウズベキスタンのものは全てカワイイ!!
チョルスー・バザール。一階は肉売り場、二階はドライフルーツとナッツ売り場。野菜や果物、スパイスは隣の建物。 pic.twitter.com/Um5dpb1T4h
— 菅野りえ (@kashan314) August 9, 2022
この動画はウズベキスタンのチョルスー・バザール。2階でかわいくパッケージされたナッツが買えます。
日本人が溶け込みやすいのはカザフスタンとキルギス
カザフスタンとキルギスには日本人と同じ顔立ち・体格の人が多く、日本人が混ざっても自然と溶け込めます。
現地語で普通に話しかけられることも多いです。
ウズベキスタンに入るとイラン系の人が増えるため彫りの深い顔立ちの人ばかりになって平面顔の日本人は「明らかに観光客」で、「キタイ(中国人)?」と聞かれることが多くなります。
いずれも人懐こくニコニコとおしゃべりしてくれる人がたくさんいて、基本的にアジア人だからと差別されたり嫌がらせをされることはありません。
特に日本・日本人に対しては好印象を持っている人が多く、「ヤポン(日本です)」と答えると「ヤーポン!」と目を輝かせていろいろ話しかけてきてくれます。特にキルギスでは「ヤポン」が聞こえた遠くの人までやってきて会話にまざったり、興味深げに見られたりということがありました。
物価はキルギスが一番安い
安さで言えば何と言ってもキルギスです。
ローカル向けの食堂も多く、1食200円くらいで食べられることも。
逆に一番物価が高い(特に外食費が高い)と感じたのがカザフスタン。カザフスタンではローカル向けの食堂がほとんど見つけられませんでした。レストランの食事は日本とほぼ同じくらいかかります。
それぞれの都市の移動について
ビシュケク(キルギス)、タシケント(ウズベキスタン)、アルマトイ(カザフスタン)は、それぞれ飛行機や長距離バスでつながっていて、タシケントとアルマトイは鉄道でも移動できます。
ウズベキスタンは鉄道が発達しているので(といっても日本ほどではありませんが)、ウズベキスタン国内は鉄道で移動するのも楽しいですよ。
特に、VIP席は4人掛けの半個室になっており、居合わせた人と高確率でおしゃべりが弾みます(VIP席を予約するようなウズベキスタン人は、ウズベキスタンの中でもそれなりの収入がある人で、英語が話せることが多いです)。
タシケントとアルマトイ、タシケントとビシュケクはいずれも飛行機で約1時間半。アルマトイとビシュケクは乗り合いタクシーで約5時間です。バスでも移動できますが、かなり時間がかかります。