キルギス・ビシュケクに滞在しているものの、日々仕事と街歩きしかしていないので「ちょっとは観光っぽいこともしよう」と、ビシュケクからほど近いブラナの塔を見に行くことにしました。
ホテル手配のツアーは「暑いからお休み中」
実は、先週滞在していたホテルに置いてあったチラシにブラナの塔ツアーがあったのですが、フロントで確認したところ「このツアーは今やっていない。暑いから」とのこと。たしかにこの週は午後の気温が40度超えだったので、まあ納得。
じゃあ自分でタクシーをチャーターしていくしかないか…?
と思いながらビシュケクの日本人オーナーによるゲストハウス「さくらゲストハウス」に移動してブラナの塔に行きたいという話をしたところ、女将さんが「バスで近くまで行けますよ」と教えてくれました。
ブラナの塔への行き方 350番のマルシュルートカでトクモクまで
ビシュケクからブラナの塔まで行くには、350番のマルシュに乗ればいいとのこと。バス代は70ソム(約120円)だと聞いて、バスで行くことに。
マルシュは自分から「乗るよ」とアピールしないと通り過ぎてしまうので、350番が来たら手を横に出してアピールします。
350番のバスはトクモクまでの長距離のほか、近距離のお客さんも運んでいて、どこまで乗るかで料金が違うため、乗ったら運転手さんに「トクモク!」と伝えて70ソム渡せばOK。
私が乗ったバスは満員だったのですが、女の子が席を譲ってくれました(この子は席が空いたら座るけど、混んだらほかの大人に席を譲っていました。「あなたも子どもなんだから、座ってていいのよ」と思ったんだけど。いろいろ考えさせられました)。
トクモクまで約1時間半。
マルシュにクーラーはついていないので(稼働させていない?)かなり暑いのですが、走り出すと開けてある天井の窓から風が入ってきて涼しいです。
ビシュケクから30分も離れると、放し飼いの牛や馬が見られます。
終点・トクモクのバザールで下車、タクシーの値段交渉
終点はトクモクのバザール前のバスプール。ほとんどの人がそこで下車するので、皆に続いて降りたら次はタクシーを探します。
トクモクのバザールからブラナの塔に行くバス(マルシュ)もあるそうなのですが、1日に何本、という少ない本数の運行なのでタクシーで行ったほうがいいそうです。
バザールとブラナの塔なら、片道250ソムが相場だそう(2022年7月時点)。
ただ、私はせっかくここまで来たならブラナの塔から6キロほどの場所にあるというアク・バシム遺跡も見たいと思っていたので、タクシーの運転手に交渉することに。
タクシー乗り場を見つけてウロウロしていると一人の男性が「タクシー?」と声をかけてきたので「ブラナ、アク・バシム、ヒア」とジェスチャーをしながら「2カ所まわってここに戻ってきてくれ!」と伝えると1000ソムと運転手が提示。
いやいや、ブラナの塔からアク・バシムまで6キロでしょ?高いよ、と800を提示したところ、運転手さんしぶしぶOK(800でも高いと思うけど…)。
いざ車に乗ってスタート、という時に運転手が「900にしてよ」と言ってきたので日本語とジェスチャーで「だめ、800!800って言ったでしょ!800で行かないなら、他を探す」と車を降りようとすると、慌てて「800でいいよ、わかった」と譲って(?)くれました。
強い意思を伝える時は日本語でいい、語気の強さでこちらの言いたいことを伝えることが大事だと感じています。
のどかな農道をブラナの塔に向かう
バザールからブラナの塔まで向かう道々、放し飼いにされている牛や馬、馬に乗って道を行く少年をたくさんみかけました。
その都度、運転手さんがロシア語で「ほら、牛!」「馬!」「苺の畑だよ!」と教えてくれて、「写真撮る?」とこまめに聞いてくれるという親切ぶり(笑)。
このドライブでいくつかのロシア語を覚えました。
子供って、こうやって言葉を覚えていくんだよなあ、と思いながら覚えたてのロシア語で「馬!」「牛!」と私も復唱。
そうこうしているうちに、ブラナの塔に到着しました。
ブラナの塔
ブラナの塔は、古代都市バラサグンの残骸でミナレット(モスクの隣に立てられる塔で、お祈りの時間が来ると塔の上からお祈りの時間を知らせる)なのだそう。
普通はモスクのミナレットは関係者以外登れないのですが、ブラナの塔はのぼることができます。
実はずっとミナレットに登ってみたいと思っていたので、ついにその夢が叶いました。
事前に調べた情報だと、塔にのぼるのに50ソムほどかかるとの事だったのですが、料金所が無人で前を歩く人が素通りしたので、私も同じく素通り。
ここが入り口です。
階段はとても急で幅も狭く、真っ暗で足元が見えないのでかなり怖いです。両側のレンガの壁をしっかりつかんで慎重に登っていきます。この中ですれ違うのは無理。
これがブラナの塔のてっぺん。
トクモクの街が遠くまで見渡せてとても気持ちがいいです。
ここでクロアチアから来たという女性と、彼女のツアーガイドのキルギスの青年と暫くお喋りをしながら景色を楽しみました。
塔の近くにはクルガン・ステラと呼ばれる石作りの人や、顔が書かれた石がたくさん置かれています。これらの石は死者を埋葬した場所の上に作られたそうで、お墓のような意味があるのかな?
かなり広い範囲にたくさんの石があります。
アラビア文字が書かれた石碑も。
かつてはこの土地ではアラビア文字が使われていたんですね。
ブラナの塔の資料館。こちらも無料で見学できました。
中は非常にこじんまりしていて、遺跡から発掘された土器や装飾品が飾られていました。
資料館の隣のユルクはお土産物屋さんです。素朴なお土産が並んでいます。
中にいる売り子のお姉さんは英語が達者でした。
ブラナの塔周辺をゆっくり見て約1時間。
次は、アク・バシム遺跡です。
アク・バシム遺跡を見学
ブラナの塔からアク・バシム遺跡までは約6キロとのことでしたが、道が悪く半分は舗装されていない砂利道。
「本当にこの道であってるのか…?」
と、若干不安を抱きながらの移動でした。
アク・バシムはその地域の名前でもあるらしく、アク・バシムエリアに入ると運転手さんのテンションがアップ!
「ここがアク・バシムだよ!」と何度か興奮気味に繰り返します。
うん、私が行きたいのはアク・バシム遺跡でアク・バシム町ではないんだけど伝わってるかな……?と不安になりながらも、心の中で(もし、アク・バシム遺跡にたどり着けなくても、キルギスの田舎の風景が見られたということで良しとしよう)と考えていると……
「ここが俺の家!」
「あそこが学校!」
と、なんと運転手さんはアク・バシム町に住んでいて、彼のおひざ元でした。そのため、テンションが高かった様子。
肝心のアク・バシム遺跡も運転手さんが子どもの頃からよく遊びに行っていた場所だったそうで、
アク・バシム遺跡を一周する細いあぜ道を案内してくれました。
ところでアク・バシム遺跡ってユネスコ遺産にもなっているのですが、特に柵があったり案内所があったりするわけでもなく、ただ原っぱの真ん中にあります。
発掘した跡があるくらいなので、がっかりするかも。けれど、この自然な感じが、私はとても好きだと思いました。
土で作ったブロックには草が練り込まれています。
これは比較的新しいのかな?
猛暑の中、遺跡を一周する元気はなかったので手前を見ただけですが、行って良かったです。
運転手さんが途中からノリノリでいろいろ案内してくれたり写真を撮ってくれたりしたので、チップの意味も込めて1000ソム渡しました。
後からゲストハウスのおかみさんに聞いたところ、キルギスで1日働いて1000ソムもらえればかなりいいお給料だそう。
タクシーをチャーターしたのは3時間弱だったから、とてもオイシイ仕事だったんじゃないかな(笑)
トクモクのバザールでランチ
ブラナの塔とアク・バシム遺跡を見学してバザールに戻ると14時前。
お腹が空いたのでレストランを探したのですが、タクシー乗り場やバスプール周辺には見当たらず…
オルトサイ・バザールやアラミジン・バザールの中に食堂があったことを思い出し、バザールの中を探してみることに。
トクモクのバザールのごちゃっとした感じ、何とも言えない昭和感があって好きです。
旧ソ連圏でたまに見かけるたまご屋さん。
バザールの横にそれた道を覗いたら、レストランの垂れ幕が!
よかった!
ご飯を食べよう。
こちらがメニュー表。
まったくわからないので、とりあえず「ラグマン」と「チャイ」を注文。
ちなみに店内はクーラーがなく、窓も締め切られていてかなり暑いです。
こちらがラグマンとチャイ。
かなり安いのに、ティーバッグではないチャイだったのがうれしかったです。
ラグマンは……これまで食べたどのラグマンとも違う。
ラグマンにもいくつか種類があるみたいで、「〇〇? △△? ★★?」みたいなことを聞かれたので、適当に「それそれ!」みたいなことを言ったらこれが出てきました。
白菜やピーマンを辛めに煮たやつが乗っかったラグマン。
見た目はアレですが、ちゃんと美味しかったです。
これで130ソム。ごちそうさまでした!