ヤズド宿泊最終日の前夜。
街歩きから帰ってくると、私が宿泊するTarooneh Traditional House(タローネ)のスタッフ・ナリゲスちゃんが
「明日、ペルセポリスのツアーに参加するっていう人が1人いて、もしあなたも行きたいなら安い値段で参加できるよ。ツアーの後はそのままタクシードライバーがシーラーズまで送ってあげることもできる」
と教えてくれたので、せっかくだからと参加することにしました。
金額は記憶が曖昧ですが、たぶん50ユーロくらい?
ヤズドからシーラーズまでがかなり通りので、移動+観光が付いているならお得なのでは、と。
そんなわけで、翌朝9時。
Tarooneh Traditional House(タローネ)をチェックアウトし、ゲストハウスまで迎えに来てくれたタクシーに乗っていざ、観光開始です。
パサルガダエ(PASARGADAE)
一緒にツアーに行くことになったのは、ポルトガル人のマリア。なんと2カ月の休暇を使い、中央アジアと中東を旅しているそう。
2カ月ってすごいね!と驚くと、マリアは今年50歳になるのでそのアニバーサリー。去年休暇を取らず、去年の休暇と今年の休暇をドッキングさせて2カ月にしたのだと教えてくれました。
ステキだ……!
私も急遽ツアーに参加することになったため「ツアー代金が安くなった!ありがとう!」と喜んでいて、そういう素直に感情を表現するところもステキです。
さて、ヤズドから砂漠の中を3~4時間ほど車を走らせてようやくパサルガダエに辿り着きます。
5月のパサルガダエは黄色い花が咲く草原の中にたたずんでいて、とても気持ち良い!
ペルシャ帝国の時代からある重要遺跡で、ユネスコの世界遺産に登録されています。入場料がかかるのですが激安で、ここはマリアが「紙くずと一緒よ!」と言いながら払ってくれました。
施設内はとても広いので、施設内を走るオープンバスに乗って移動します。チケットを買って入場したすぐ右手にバス停があるので、そこで待ちましょう。
ちなみにバスは有料ですが、これも紙くずみたいな価格だったので、バス代は私がマリアにプレゼントしました。
草原の中にそびえる遺跡は半分崩れかけていますが、それでも大事に補修されています。
遺跡の修復をする人の前にはたくさんの観光客が。
ロープで仕切られて入れないところも多いのですが、かなり近くに寄って見られる場所もたくさんあります。
かなり大きいお王様のお墓。
人もあまりいないので、スカーフを取って記念撮影する女性観光客の姿も(本当はダメです)
パサルガダエは、遺跡なのですが、私の中の記憶は「砂漠の中の気持ちいい草原」。
移動距離が長くあまりゆっくり滞在できなくて(マリアが「早くペルセポリスに行きたいから、ここはさっさとみよう!」と主張(^^;)それがとても残念でした。
個人的には、お弁当持っていって、草原の中でゆっくりランチを取りながら遺跡を眺めたいくらい心地よい場所でした。
ナグシュ・ロスタム
パサルガダエのあとはナグシュ・ロスタムに移動しながらレストランに入りランチを取ります。
ドライバーも一緒にランチ。ムスリムなのにいいの?だいじょうぶなの?と思うのですが、「ここはヤズドじゃないからかまわない」とかなり自由。
ビュッフェスタイルのランチ(45万リアル)でお腹を満たしたあとは、ナグジュ・ロスタムまで!
このとき、時間はすでに午後2時過ぎ。
大学で考古学を学んだというマリアはとにかくペルセポリスをゆっくり見て回りたかったみたいで、「ペルセポリスはすごく重要な場所。でもこのペースでツアーをしていて、今日ペルセポリスの観光ができるのかしら?」と不安がり、何度もドライバーに「まだ?」「ペルセポリスには何時につくの?」と確認していました。
午後3時過ぎにナグジュ・ロスタムに到着したのですが、マリアはここには全く興味がなく「通過してもいい」くらいな感じだったようで、彼女は中に入らず。
私はせっかくだからと一人で入場料を支払い、中に入って近くで見てきました。
岩に掘られた巨大なレリーフが並んでいるこちら、なんとお墓なのだそう!
すごいな、よく掘ったな、とびっくり。
見応えはあるものの、見るところ自体はそんなに多くなく、見学はわずか15分くらいで終了。
ペルセポリスにいくついで、くらいな感じで「ちょっと寄る」ポイントかもしれません。
ペルセポリスは、この場所から1時間弱。けっこう近いです。
ペルセポリス
さて、ペルセポリスに辿り着いたのが午後4時半くらい。
タクシードライバーが「1時間半後に、ここに戻ってきてね」と言うと、「ペルセポリスはとても広い!1時間半じゃたりない。最低でも2時間は必要!」とマリア。
タクシードライバーは私たちをシーラーズまで送り届けた後ヤズドに戻るため、時間を押したくはなかったようでしばらくマリアとやりあっていましたが、マリアに負けて2時間後に入り口で合流することに。
私たちは入り口近くのインフォメーションで1時間の英語ガイドをお願いしました。ガイド料金を払いペルセポリス遺跡の手前まで進んだところで、なんとガイド料金は払ったけれど入場チケットを買っていないことが発覚。
5月の午後4時とはいえど、砂漠の中なので直射日光が非常に強くて、またインフォメーションまで戻るのは大変……。
というわけで、チケットもぎりスタッフにその場でお金を払い、中に入れてもらいました。
こういうところ、融通利かせてくれるのがイランのいいところです!
ペルセポリス遺跡に入ると、当時のままの階段の上に木製の階段が重ねられています。
観光客が歩いていいのは、木製の階段のほう。
階段の段差が小さいのは、かつて馬がこの階段を上り下りしていたためだそう。
遺跡を前に写真を撮る人達。
下の方はガラスで覆われていますが、覆われる前にいろいろな人が遺跡に落書きしたあとが残っていて、おもしろい落書きもたくさんありました。なかには、50年前、60年前の落書きも!
イラン航空のモチーフとなっている双頭の鷲(グリフォン)もありました!
そびえる遺跡、遺跡、遺跡……
階段に細かく掘られたレリーフには、ひとつひとつ意味があります。
ペルセポリスは、かつて火をつけられ焼き払われた歴史がありますが、燃えずに残った石の台座がいまでも鎮座しています。
足場をくんで修復作業をしている一角。
よく見ると、チャドルを着た女性が修復作業をしていました。
建物の入り口だけが分かる空間。大きな建物だったのだろうと思われます。
こういう、空にそびえる石の柱って日本にはないので、「外国の遺跡にいるーーー!!!!」って感じになれるのがおもしろい!
さて、マリアが「最低でも2時間なくちゃ!」と強く主張したペルセポリスでしたが、ガイドを付けて丁寧に説明してもらいながら回っても、ほぼぴったり1時間半で見終わりました(笑)
ペルセポリス遺跡を出てインフォメーションセンターの方に戻ってくると、靴磨きの少年がガイドをしてくれた女性を見つけて駆け寄ってきます。どうやら友達みたい。
残念ながら私たちは皆スニーカーだったので、彼のお客さんにはなれなかったのですが、
写真を撮ってくれたので、お礼にチップをあげたらとても喜んでくれました。(ちょっとだけどね)
このあと、待っていてくれたタクシー運転手と合流し、私とマリアはそれぞれが予約した宿まで送ってもらいました。