岐阜から名古屋に向かって走る東海道線に乗って、進行方向向って左側の車窓を見ていると、木曽川の少し手前で不思議な光景を見ることができます。
どこにでもあるような住宅や畑が立ち並ぶ街並みの中に、突如、同じ形の建物が現れ、それがずらりとかなりの数立ち並んでいるのです。
トタン屋根の同じような形の平屋がずらっと遠くまで並ぶ風景に驚いていると、電車は木曽川を渡りあっという間にその風景は後ろへ流れて行ってしまいます。
始めてあの風景を見た時
「なに、あれ。借家? アパート? 市営住宅?」
とハテナがいっぱいでした。
なにより、その建物たちはだいぶ歴史を感じさせる感じで、どこかノスタルジック。
懐かしい、昔の日本に出会ったかのような衝撃だったのです!
そのエリアを地図で調べると、どうやら岐阜県の笠松町というエリアらしく、近くに競馬場があるのを確認できます。
あの懐かしい感じの建物を近くで見てみたい。
あの建物の中を歩いてみたい。
そう思っていたとき、岐阜出張の話が舞い込みました!
というわけで、出張の傍ら、あの懐かしい感じの建物が並ぶ町を訪れてみることにしたのです!
名古屋から岐阜の間は、名鉄とJRがほぼ並走しています。
私が見た懐かしい建物たちはJR線のすぐそばなのですが、近くに駅がありません。
一方、名鉄の笠松駅からだと、少し歩くけれど行けなくはない様子。
というわけで、名鉄の笠松駅で降りて、JRの線路を目指して歩いてみることにしました。
名古屋から名鉄で笠松駅へ。
駅を降りて競馬場の方へ向かいます。
笠松駅のすぐそばが笠松競馬場。
そして競馬場に沿うように木曽川が流れます。
木曽川の土手を、遠くに見えるJRの橋を目指して歩きます。
この日は風が強い!
風を受けながら土手の上を歩ていると、なんとJRの電車の中で見たあの建物と同じような建物が並んでいるのが見えました。
こちらはかなり小規模ですが、こんな感じです!
このひと昔どころかふた昔くらい前の建物がぎっしりと並ぶ様子!
たまりません。
私はこういう「懐かしさを感じる風景、建物」が大好きなんです!
なんだこれは。と、土手を降りて近くまで行ってみると……
その建物は全て塀と柵の中。
隔てられている朔は錆が出て、打ち捨てられたかのような雰囲気を醸し出していますが、柵の向こうを見ると洗濯機や車があり、洗濯ものがぶら下がって、どうやら人が住んでいる様子。
これは廃墟ではなく、今でも稼働している建物たちなのです!
なんなんだろう、なぜ柵で隔てられているんだろう?
そんな疑問を抱きながらもう一度土手に戻ってJRの方へ歩き、線路に沿って岐阜方面に戻ります。
そして、ついにたどり着きました。
電車の中から見えた風景。これこれ!
同じ建物、トタンの壁の懐かしい建物たちがずらりと並ぶ風景。
建物には全て番号が振られ、やはり塀で仕切られています。
そして有刺鉄線が張り巡らされ……
ちょっと物々しい感じ。
と思っていたら、こんな看板が。
馬?
こんな看板も!!
そして正面には……
だだっ広い空間が!
そしてよーく見ると
馬がいる!!!
なんとこの建物たち、人間も住んでいるのですが、基本的には馬小屋だったようです。
笠松競馬場がすぐ近くなので、競馬場で走る馬たちの住まいだったのでした!
馬が離されている広場の片隅には、こんなものが。
これって、競馬で馬がスタートするときに入ってる柵!
あたりを散歩すると、やはり馬小屋スペースは全部柵で仕切られ、部外者は入れないようになっていました。
壊れかけたフェンスの隙間から、無数に立ち並ぶ馬小屋が見えます。
よーく見ると、二階は人の住処の様子。
おそらく馬のお世話をしている人達が住んでいるのでしょう。
1階は馬が、2階には飼育員さんが一緒に生活しているのかな。
フェンスの向こう。
なんとも懐かしい風景が広がる笠松の馬小屋。
廃墟じみているけれど、しっかり人と馬の気配を感じる魅惑的な空間でした。
名鉄笠松駅から、歩いて20分くらいです。
馬の姿も見ることができて、ほのぼの和みます。
馬がいるスペースからのぞむ、馬小屋(厩)の列。